リバースモーゲージ制度を定年後に活用!その内容と特徴・取り扱い機関は?

最終更新日:2017年10月31日

リバースモーゲージという言葉を聞いたことがありますか?

高齢化が進む日本において老後の資金獲得手段として近年注目を集めているリバースモーゲージ。

最近テレビや新聞等で目や耳にすることが増えてきたのではないでしょうか。

その仕組みやメリット・デメリット、取り扱い機関等をご紹介します。

1.リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、自身の所有する住宅を担保として老後の資金を融資してもらうことができる制度もしくは金融商品のことを言います。

最初に借り入れた融資額を毎月返済して元本が減っていくものは、住宅ローンと呼ばれます。

リバースモーゲージは毎月もしくは必要な時にお金を借り入れ、死亡時に担保となっている自宅を売却することで融資額を一括で返済する仕組みです。

逆住宅ローン(reverse mortgage)とも言えるため、このようなネーミングとなっています。

アメリカではすでに1960年代から導入されており、日本では1981年に武蔵野市が全国で初めて導入しました。

2.メリットとデメリット

リバースモーゲージのメリットは、生きているうちは自宅を売却することなく老後の資金が得られることにあります。

子供に自宅を残す必要がなく、貯蓄の少ない高齢者にとって注目の資金調達方法として注目されています。

一方デメリットもあります。

元本は借主の死亡後に自宅を売却して一括返済しますが、金利は毎月支払う必要があります。

基本的にリバースモーゲージの金利は変動金利となりますので、金利が上昇した場合、毎月の返済負担が増えることになります。

また、不動産価格の低下により融資額の引き下げや融資の打ち切りもあり得ますので、一定のリスクは存在します。

3.どういう人が借りれるの?

リバースモーゲージの借り入れ条件は、融資する主体によってそれぞれ異なりますが、基本的には55~60歳以上で自宅を保有している人が対象となります。

一戸建てだけではなくマンションも対象となる場合もあります。

ただし、借主の死亡後に自宅を売却する融資制度であるため、相続人がいる場合は相続人の許可がないと融資契約できないことがあるので注意しましょう。

4.どこで借りれるの?

現在は、民間の金融機関や地方自治体で融資されています。

金融機関でもっとも有名なのが東京スター銀行の「充実人生」という商品になります。

最近では電車で綾小路きみまろさんが載っている中吊り広告を目にする方も多いのではないでしょうか。

近年はメガバンクや地方銀行などもリバースモーゲージの商品の取り扱いを開始するところが多く、取り扱い金融機関は格段に増えてきました。

ただし金融機関のリバースモーゲージの場合、自宅が首都圏や大都市近郊で不動産価値が高い物件しか融資対象となりづらいという制約があります。

一方、地方自治体でもリバースモーゲージの取り扱いを行っています。

民間の金融機関と異なるのは、生活保護を受けることのできない低所得層の高齢世帯に対して生活資金を貸し付けるというところ。

地方自治体が直接融資する場合と、金融機関を斡旋して間接的に融資する場合の2種類の方法があります。

日本で初めてリバースモーゲージを導入した武蔵野市をはじめ、世田谷区、大阪市、神戸市などで導入されています。

また国の制度として、国土交通省「高齢者の住宅住みかえ支援制度」というものが存在します。

これは住みかえ型リバースモーゲージ制度と言われており、高齢者の所有する住宅を借り上げて賃貸住宅として転貸する仕組みです。

借り上げた住宅に住んでいた高齢者は、借り上げ主体から得られる賃料で、高齢期の生活に適した別の住宅に住みかえます。

これにより高齢者には広すぎたり、住みかえにより使われなくなった住宅を子育て世代等に貸し出すことで住宅を壊さず有効活用することができます。

5.今後の課題

日本における現在のリバースモーゲージ制度には課題が存在します。

不動産価格の下落により死後の担保売却額が融資額を下回った場合、その差額を補填する制度が整備されていません。

欧米では不動産売却額を融資額が上回った分を保険でカバーする制度があります。

このような公的保険が整備されれば、不動産価値下落や金利上昇リスクをカバーでき、よりいっそうリバースモーゲージの普及が進む足掛かりになるはずです。

また日本では、欧米に比べて中古住宅市場の規模が小さいことも、リバースモーゲージが注目されている割に契約件数が思いのほか伸び悩んでいる原因となっている可能性があります。

これらの制度や市場の整備を行っていくことが今後の課題であり、リバースモーゲージのさらなる普及の起爆剤となるといえるでしょう。

リバースモーゲージ制度について理解を深めよう

約20年前に日本で初めて導入されたリバースモーゲージ。

高齢化が急速に進む現代社会において、第二の年金とも言われる高齢期の資金調達方法として近年特に注目が集まっています。

独身や子供を持たない高齢世帯等、さまざまなライフスタイルの高齢者が増えてきた今日。

豊かな老後生活の実現のためにぜひリバースモーゲージの活用について検討してみてはいかがでしょうか。