豚肉にはビタミンB1が豊富で疲労回復やアルツハイマー予防にも効く

最終更新日:2017年11月19日

中高年の方の中には、比較的あっさりとして淡白な鶏肉を好んで、脂分の多い豚肉は、敬遠されているという方も多いかもしれません。

でも、豚肉には、健康維持のためにうれしい成分がたくさん。

積極的に食べたい食材です。

1.豚肉といえば、ビタミンB1

豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれており、これは牛肉や鶏肉と比較すると数倍の量です。

豚肉のB1については健康番組などでしばしばクローズアップされているため、耳にしたことがある方も多いことでしょう。

ビタミンB1の大きな役割として、糖質が体の中でエネルギーのブドウ糖に変換されるのを補助することがあげられます。

そのため、B1は疲労回復のためのビタミンと呼ばれます。

例えば夏場は、食欲が落ちて炭水化物ばかりになりがちですから、少し豚肉を加えると、夏バテ防止になります。

また、ビタミンB1は脳の機能とも関係があります。

ブドウ糖は、体だけでなく脳のエネルギーでもあります。

そのためB1が不足すると脳の神経伝達物質の機能が衰え、アルツハイマーなどの原因になります。

2.神経伝達物質を生成するビタミンB6にも注目

脳の機能に深くかかわっている栄養素といえば、ビタミンB1のほかにもうひとつ、ビタミンB6があります。

これも、牛肉や鶏肉などにはほとんど含まれていないビタミンで、豚肉の専売特許の栄養素といえます。

脳は、さまざまな神経伝達物質によって機能していますが、ビタミンB6はその伝達物質が脳内で生成されるのを補助する役割があります。

そもそも、B6はたんぱく質の代謝を助けるビタミンですが、神経伝達物質はたんぱく質から生成されるため、B6が不足すると、伝達物質をスムーズに生成することができません。

また、わたしたちの体はすべてたんぱく質でできていますから、体の各組織を維持するためにも、ビタミンB6は非常に大切な栄養素です。

3.神経を修復するビタミンB12

ビタミン12が豊富なのも、豚肉の特徴です。

ビタミン12には、まず赤血球を作り、貧血を予防する機能があります。

また、脳を含めた全身の神経の働きともかかわりがあります。

B12は、たんぱく質のほかに脂質の代謝や合成を助けるビタミンで、神経細胞の表面にある、脂肪膜の生成や修復をサポートしています。

神経細胞のダメージは、手足のしびれや神経痛、アルツハイマー、睡眠障害などの症状と深い関係があります。

ビタミンB12は腸内で生成されるので、それほど不足を心配する必要はありません。

しかし基本的に動物性の食材からしか摂取できないため、食事が野菜に偏っている方は不足している可能性もあります。

定期的に豚肉を取り入れるとよいでしょう。

4.豚肉の脂肪にも大切な役割があります

中高年の方の中には、豚肉を食べたいけれど、脂肪が多くて…という方も多いでしょう。

特に内臓脂肪やコレステロール値が気になっていると、豚肉には手を出しづらいですよね。

豚肉の脂肪は、多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸を多く含んでいます。

アラキドン酸は細胞膜の主要成分で、脳の構築するのに不可欠な脂肪酸です。

つまり、アラキドン酸は、脳の正常な機能を維持している脂肪酸です。

成長期の脳の発達、成人の場合は記憶力や認知症の改善、統合失調症の症状緩和などの効果が報告されています。

また、劇的な効果があるわけではありませんが、アラキドン酸にはコレステロール値を下げる効果もあります。

5.そのほかの栄養素

ミネラルの亜鉛、カリウムが豊富です。

亜鉛にはさまざまな役割がありますが、特に大切なのは生活習慣病の予防です。

まず、インスリンの分泌を調節し、血糖値を正常に保ちます。

コレステロールの上昇を抑えるほか、血圧降下作用も確認されています。

糖尿病、高コレステロールによる動脈硬化、高血圧は、どれも年令とともに気になってくる症状ですね。

また、カリウムは余分な塩分を体外に排出して血圧を安定させる機能があり、こちらも高血圧の予防、改善効果が期待できます。

6.豚肉はどう食べるのが効果的か

ビタミンB群は基本的に水溶性のビタミンで、煮るとビタミンが溶け出してしまいます。

例えばしゃぶしゃぶのような調理法だと、せっかくの栄養素がほとんど体内に入らないことになります。

焼くまたは揚げるなど、油で調理するか、煮る場合は煮汁も残らず食べることができるメニューにしましょう。

にんにくやたまねぎの香り成分、アリシンは、ビタミンB1を吸収しやすくします。

また、葉酸と一緒に摂るとビタミンB12の貧血防止作用がアップします。

豚肉でビタミンB群を効率的に摂取しよう

豚肉の健康効果でいちばん特筆するべきものは、脳の神経細胞の機能を維持するさまざまな成分が含まれていることでしょう。

ビタミンB1、B6、B12などのビタミンB群、脂身に含まれる脂肪酸のアラキドン酸などが、こうした効果を持った成分です。

脳の機能維持は認知症などの予防につながりますから、豚肉を毎日のメニューに取り入れるのは、中高年の方にとっては非常に有効です。