白砂糖は血糖値を急上昇させ糖尿病リスクを高める!

最終更新日:2017年10月30日

さまざまな食品や料理の味に甘さを加える目的で使われる砂糖にも、上白糖やグラニュー糖・黒砂糖など多くの種類があります。

その中でも上白糖やグラニュー糖などの白い砂糖は純度が高い反面、健康リスクも高い砂糖です。

1.砂糖が白くなるまでの工程

砂糖はサトウキビやてんさい(サトウダイコン)を原料として作られます。

上白糖やグラニュー糖などの白い砂糖と黒砂糖や三温糖・てんさい糖などの色がついた砂糖では、製造方法が異なります。

例えば黒砂糖はサトウキビの絞り汁を加熱して水分を蒸発させ、成分を凝縮させて作られる含蜜糖の一種です。

これに対して上白糖やグラニュー糖は原料のサトウキビから不純物を沈殿させ、上澄み液だけを煮詰めて結晶化した後に精製されて作られます。

これら砂糖は不純物がほとんど含まれておらず、ブドウ糖と果糖が結びついたショ糖の純度が100%に近くにも達しているために白いのです。

ちなみにサトウダイコンを原料とした製法では同様に煮詰めた糖分の結晶が上白糖やグラニュー糖となり、てんさい糖は残された糖蜜を使って作られます。

2.摂取後の血糖値が急上昇

上白糖とグラニュー糖の違いは、上白糖にはショ糖をブドウ糖と果糖に分解した転化糖の液体が振りかけられているため水分が含まれる点にあります。

この転化糖が含まれないグラニュー糖は最も純度の高いショ糖の結晶です。

日本ではグラニュー糖より上白糖の方がさまざまな料理の味付けや菓子の材料として広く使われており、グラニュー糖はコーヒーや紅茶に入れる用途などに限られます。

黒砂糖やてんさい糖など色のついた砂糖と比べてもショ糖の純度が高いこれらの白い砂糖は、食後の血糖値を上昇させるスピードを表すGI値という数字が非常に高いのが特徴です。

白米のGI値が81で食パンが91となっているのに比べ、上白糖のGI値は109でグラニュー糖は110にも達します。

ちなみに黒砂糖のGI値は99で白い砂糖よりは若干低く、てんさい糖は白米や食パンより低い65です。

白い砂糖を摂取すると血糖値がそれだけ急上昇するため、健康への悪影響が懸念されるのです。

3.糖尿病リスクを高める砂糖

白い砂糖が多く含まれた食品や料理・菓子を食べると、急上昇した血糖値を下げるため膵臓からインスリンが大量に分泌されます。

糖尿病の患者でない限りインスリンが効き始めると血糖値は低下していきますが、インスリンが過剰に分泌される弊害も決して小さくはありません。

このような状態が日常的に続いているうちにインスリンが次第に効きにくくなり、分泌されても血糖値がなかなか下がらなくなってきます。

これがインスリン抵抗性と言われるタイプの2型糖尿病で、症状が進行すると網膜症や腎症などさまざまな合併症の原因となります。

特にシニア世代の人は加齢によって糖代謝の能力が低下しているため、糖尿病を発症しやすくなっています。

糖代謝が高かった若い頃と同じ感覚で甘いものを食べたり飲んだりしていると、気づかないまま血糖値の高い状態が続くようになります。

4.糖代謝でビタミンB1とカルシウムを消費

上白糖・グラニュー糖といった白い砂糖が体に悪いもう1つの理由は、大量に摂取することでビタミンやミネラルが不足しがちになる点にあります。

ショ糖の純度が高い上白糖とグラニュー糖には、原料のサトウキビやサトウダイコンに含まれていたビタミンやミネラルも不純物とともに取り除かれています。

精製の過程でどうしても失われてしまうビタミンやミネラルも、本来は糖をエネルギーとして利用するのに必要な栄養素です。

ショ糖が摂取されると腸でブドウ糖と果糖に分解され、細胞のエネルギー源とするために吸収されます。

この糖代謝の第1段階で乳酸が生じるため血液が酸性となり、第2段階ではビタミンB1も必要です。

酸性となった血液を中和させる目的で骨の成分からカルシウムが溶け出す点にも注意が必要で、大量の砂糖を摂取すると骨が弱くなる原因となります。

白い砂糖にはこうしたビタミンB1やカルシウムが含まれていないために、他の食物から摂取しなければ不足してしまいます。

5.健康への悪影響を低くする対策

スイーツや清涼飲料水の好きな人はシニア世代にも少なくありませんが、それらの食べ物や飲み物を通じて大量の砂糖を摂取している人は健康へのリスクを抱えています。

白い砂糖は血糖値の急上昇やビタミンB1・カルシウムの消耗だけでなく、心身両面で健康へのさまざまな悪影響が懸念される食品です。

白い砂糖は虫歯の原因となるのはもちろん、免疫力の低下や認知症・うつ病・がんを引き起こす可能性もあります。

ビタミンB1が不足すると糖代謝が低下して疲れやすくなり、カルシウムの不足は集中力の低下やイライラの原因にもなります。

糖尿病の発症リスクも含めて白い砂糖の悪影響を低くするには、甘い食べ物や清涼飲料水を控えるのが一番です。

自分で砂糖を使って菓子や料理を作る場合には、ビタミンやミネラルが含まれる黒砂糖やてんさい糖を使ってみるのも1つの解決法です。

いずれにしても砂糖の摂取はほどほどにするのが、健康を維持する上での基本と言えます。

シニア世代だからこそ、白砂糖の量を減らそう

自分ではそれほど甘いものを好まないというシニア世代の人でも、たいていの子供は甘いお菓子や飲み物が好きなものです。

孫におやつを買い与えたりする際にも、以上で見てきたような健康リスクを考える必要があります。

幸福感が得られる砂糖の甘さには依存性もありますので、甘さの誘惑を退けることが健康への第一歩となります。