定年後の旅!斎場御嶽(沖縄県)で神の気配を感じつつ祈る

最終更新日:2017年9月26日

沖縄で最も神聖とされる斎場御嶽は、琉球王国の大切な祈りの場所でした。
今でも、その場所へ入ると身の引き締まるような思いがします。

のんびりとした南国の沖縄では他と異なる異質の場所です。
神の気配を感じられるかもしれません。

そんな神聖な場所へ行ってみましょう。

1.アクセス

那覇市から、国道329号線で東へ向かいます。
国道331号線とのT地路にぶつかったなら、右折をし、331号線を南下します。

海沿いに走ること15km弱で到着します。
車の窓からはエメラルドグリーンの美しい海が見え隠れします。

小さな半島の先を回り込んだ所に、入り口の標識があります。
側に駐車場もありますので車を止めて参拝へ向かいましょう。

2.斎場御嶽とはどのような場所?

15世紀から16世紀の琉球王国の御嶽とされています。
読み方は「せーふぁうたき」です。

斎場(せーふぁ)とは最高位という意味であり、御嶽(うたき)とは祈りの場所という意味です。
斎場御嶽は通称であり、正式には「君ガ嶽、主ガ嶽ノイビ」と言います。

3.斎場御嶽内の施設

御嶽内には首里城内の施設と同じ名前を持つ拝所がいくつかあります。
3カ所の拝所がある一番奥の三庫理(さんぐーい)には最も格式の高い「チョウノナハ(京のはな)」という拝所があります。

琉球の創世神であるアマミクが降臨するとされています。
拝所は岩壁に穿たれた所に、祈りの道具などを置き、祈りを捧げます。

三庫理から、神の島である久高島が見えますが、これは三庫理の岩壁の一部が崩れたためです。
かつては三方を岩に囲まれた空間でした。

一部では、久高島が見えるように斎場御嶽を作ったという説もありますが、実際はそうではありません。
しかし、現在では三庫理から久高島が見えることが神秘的ですらあります。

また、三庫理には三角形を形作る岩があり、その空間を人が通るのですが、まるで母親の胎内を潜るような思いがします。
その三角形の空間に南国の真っ青な空が切り取られた姿は、とても言葉では言い表せない美しさがあります。

ぜひ、一度は見てみたい景色です。

4.王国時代の斎場御嶽

琉球王国最高位の御嶽とされ、最高位の神職である聞得大君が管理しました。
この大君の就任儀式もこの斎場御嶽で行われたのです。

そして、琉球の御嶽は全て男子禁制でした。
更に斎場御嶽では庶民は御門口(うじょーぐち)から中へ入ることが許されませんでした。

そして、国王であっても男子ですから、御門口から先へ入るときは着物の合わせを逆にし、女装に改める必要があったと言います。

5.琉球では神の使いは女性

先程の斎場御嶽へ入るときのことでもわかるように、琉球では神に仕えるのは全て女性でした。
現代でも、神人やユタと呼ばれる人たちがいます。

神人は各土地土地にいた神女(ノロ)の末裔です。
斎場御嶽を管理した聞得大君をノロの頂点として女系集団を形成していたのです。

ユタというのは霊感の強い女性がなったようで、現代でも活動をしています。
日本では神主は男性ですが、琉球では男性のノロやユタは存在しません。

女性がより神秘的と思われていたからでしょう。

6.文化的価値

斎場御嶽も2000年に首里城などとともに世界遺産に登録されました。
また、国の史跡や沖縄県の指定名勝地にもなっています。

御嶽内からは陶磁器や曲玉なども出土し重要文化財に指定されています。
また、周辺の森は第二次大戦の戦火を免れたため深い森林が残されています。

シダ植物やラン科の植物など珍しい物が沢山生息しています。

7.今では観光地の一つ

世界遺産に登録されたことにより、祈りの場であった斎場御嶽も観光化されてしまいました。
以前は、場所を示す標識も余り目立たず、うっそうとした森だけが目印でしたが、今では整備され場所を示す碑も建てられています。

8.あくまでも祈りの場

世界遺産に登録されたと言っても、斎場御嶽は祈りの場であることには変わりはありません。
今でも、真剣に祈りを捧げている人たちを見かけることがあります。

そのような人たちの写真を、断りも無く撮る失礼な観光客が後を絶ちません。
現代の日本人が考えているよりも、更に深く信仰の心が息づいているのが沖縄です。

祈りを捧げる人を見かけても、そっとしておいてあげましょう。
自分に置き換えて考えてみて下さい。

墓所で先祖の菩提を弔っているときに、いきなりカメラを向けられてシャッターを切られたらどう感じるでしょうか。
きっと嫌な思いをすることでしょう。

それと同じです。
また、斎場御嶽の内からは、何物をも持ち出してはいけません。

石や植物でも駄目です。
この場所の物には全て神が宿っていると考えられるからです。

世界遺産に登録された斎場御嶽を訪れてみよう

南の島沖縄に今でも息づく祈りの心を思い、斎場御嶽の身の引き締まるような静謐さを感じ、琉球の神を尊んで最高位の御嶽を後にしましょう。
また、周辺の海はとても美しいので、帰りにはそれも味わって見るのも良いかもしれません。