史跡 尾去沢鉱山(秋田県鹿角市)は坑内見学や砂金掘り体験もできる!歴史好きシニアは死ぬまでに一度は訪れたい

最終更新日:2018年1月10日

秋田県鹿角市にあった尾去沢鉱山は銅や金など鉱石を多く産出した後、40年ほど前に閉山しました。

閉山後の尾去沢鉱山はマインランド尾去沢としてテーマパーク化され、現在は史跡尾去沢鉱山としてリニュアルされています。

1.坑内が見学できる鉱山としては最大級の規模

史跡尾去沢鉱山は坑内や坑外施設などの鉱山跡地を利用した全国でも数少ないテーマパークの1つで、子供からシニア世代まで幅広い層の人気を集めています。

尾去沢鉱山では鉱脈型鉱床に銅や金・銀・鉛・亜鉛といった鉱石が産出し、特に銅の産出量は三菱に経営母体が移った明治以降30万トンにも達しました。

江戸時代以前にも100kmに及ぶ坑道が掘られていましたが、明治以降はダイナマイトや削岩機などの近代的技術を利用してさらに700kmもの坑道を掘り進めていったのです。

シュリンケージ採掘法を駆使しながら鉱脈に沿って坑道を縦横無尽に掘り進めた結果、主要鉱だった銅の資源が枯渇したため昭和53年に尾去沢鉱山は閉山となりました。

閉山から4年後にマインランド尾去沢としてオープンし、2008年にリニュアルオープンしてからは史跡尾去沢鉱山に改称されています。

史跡尾去沢鉱山は坑内見学ができる鉱山として最大級の規模を誇り、廃墟巡りを趣味とするシニアも満足させてくれる施設です。

2.観光坑道見学コースの見どころ

史跡尾去沢鉱山の見学コースには石切沢通洞坑コースと産業遺産コース・体験コースの3種類があり、立体映像館や万華鏡と鏡の世界館・ゴーカートなどは子供たちに人気の遊具施設です。

このうち石切沢通洞坑コースは1.1kmまたは1.7kmの観光坑道を巡る見学コースで、どちらも料金は大人1000円ですが団体割引もあります。

操業当時に使用されていたトロッコが展示されている入口から坑内に入ると、トロッコのレールが走る近代坑道で採掘跡や鉱石運搬設備などを見ることができます。

従業員に扮した人形が随所に置かれており、坑内で実際に採掘作業をしている現場をリアルに追体験できる仕組みです。

1.7kmに及ぶ特別コースの途中にはグランドマインキャニオンと呼ばれる大規模採掘跡があって、大峡谷にも喩えられる壮大な岩盤の割れ目を間近で見られます。

国内最大級と言われた江戸時代の坑道も出口近くの見逃せない見学スポットです。

3.廃墟マニアに人気の坑外施設見学コース

以上のような観光坑道見学コースとは別に、史跡尾去沢鉱山では坑外施設を見学できる産業遺産コースも用意されています。

尾去沢鉱山の広大な敷地内には坑道の他に選鉱場や精錬所なども点在しており、鉱山で働く人たちのために作られた協和会館などさまざまな施設が存在しました。

観光ガイド付きのマイクロバスを利用してそうした跡地を巡る坑外施設見学コースは最小催行人数が10人となっており、参加するには事前の予約が必要です。

観光坑道見学コースと合わせたツアー所要時間は2時間ほどで、11月中旬から3月までの冬期間を除いてツアーが募集されています。

緑に覆い尽くされた階層構造の選鉱場跡や巨大な煙突が残される精錬所跡は古代遺跡を彷彿とさせる光景で、シニア世代の中には一種の郷愁を覚える人も少なくありません。

ロープの張られた立入禁止区域内には入れませんが、尾鉱シックナーと呼ばれる巨大な円形装置や崩壊した倉庫も含めた坑外施設は廃墟マニアなら必見です。

4.奈良時代の和銅元年に銅山発見の伝説

坑道内部が観光的に整備されているのとは対照的に坑外施設は完全な廃墟と化している尾去沢鉱山は、奈良時代の和銅元年に発見されたと伝えられているほど古い歴史を持つ鉱山です。

江戸時代よりも前の採掘状況については明確な記録が残されていませんが、尾去沢鉱山から産出した金が東大寺の大仏鋳造に使われたという伝説や、平安時代後期に奥州藤原氏の黄金文化を支えたとする伝説も残されています。

江戸時代の採掘法は勘と技能に頼る手堀りだったのと比べ、明治22年に尾去沢鉱山が岩崎家の所有となって三菱財閥の手で経営されるようになって以降は近代化が著しく進みました。

前述のシュリンケージ採掘法は大正4年に採用された最新の技術で、最盛期の昭和19年には年間採掘粗鉱量が約90万トンにも達しています。

昭和12年には鉱滓ダムが決壊して土石流が社宅に押し寄せ、死者362名を出す大惨事となりましたが、太平洋戦争中の労働者数は坑内・坑外合わせて4千人近くに及びました。

5.砂金採りなど体験メニューも充実

戦後も日本の復興と経済成長に大きく貢献した尾去沢鉱山も時代の流れには勝てず、採算が取れなくなったこともあって昭和41年には精錬所が操業中止となりました。

昭和53年に閉山となって以降は観光施設として整備され、マインランド尾去沢として一般公開されるに至ったのです。

鉱山跡地を利用したテーマパークらしく、施設内では見学コースの他にも家族で楽しめる数々の趣向が用意されています。

子供からシニアまで人気を集めているのが、お椀状の「パン」と呼ばれる道具を使って選別する砂金採り体験です。

自分で採取した砂金は専用ペットボトルで持ち帰ることができますので、史跡尾去沢鉱山を訪れたら是非参加してみるといいでしょう。

この他にも砂の中に埋もれている水晶やガーネット・瑪瑙といった天然石を掘り出して持ち帰る天然石堀り体験やパワーストーンのアクセサリー作り体験、金箔貼り体験なども人気の高い体験コースです。

歴史好きなら一度は訪れたい尾去沢鉱山

日本が世界有数の経済大国として躍進する過程では、全国各地に点在する鉱山が大きな役割を果たしてきました。

多くの鉱山はその役割を終えましたが、史跡尾去沢鉱山は近代日本の経済を支えた鉱山のリアルな姿を学べる貴重な施設です。

史跡尾去沢鉱山は廃墟マニアだけでなく、歴史好きのシニアにとっても見どころが盛りだくさんです。