清水寺(京都府)の「清水の舞台」は高さが4階建てビルに匹敵!音羽の瀧にまつわる伝承

最終更新日:2017年11月24日

京都市東山区にある北法相宗大本山の清水寺は、「清水の舞台」であまりにも有名です。

清水寺は「古都京都の文化財」の1つとしてユネスコ世界遺産にも登録され、清水の舞台から見た眺望も観光客の人気を集めています。

1.修学旅行生や外国人観光客にも人気

京都市には数多くの寺院が点在していますが、清水寺はその中でも人気ナンバーワンの観光スポットです。

寺社仏閣が豊富な京都と奈良は中学生や高校生の修学旅行先としてもよく選ばれており、清水寺は定番コースとして多くの学校が旅行日程に組み込んでいます。

1994年に「古都京都の文化財」が世界文化遺産に登録されてからは、清水寺も外国人観光客が急増しました。

標高242メートルの音羽山中腹に広がる清水寺の境内には、「清水の舞台」を持つ国宝の本堂を始め仁王門・西門・三重塔・奥の院・子安塔といった重要文化財の建造物群が点在しています。

交通アクセスとしては公共交通機関を利用する人が多く、JR京都駅から「清水道」か「五条坂」までバスで移動した後に徒歩で清水寺を目指すのが一般的です。

2.高さが4階建てビルに匹敵する「清水の舞台」

清水寺を訪れる人が必ず立ち寄る名所は、何と言っても本堂から崖に張り出した「清水の舞台」です。

創建が奈良時代末期にまでさかのぼるほど古い歴史を持つ清水寺には、最初の征夷大将軍として知られる坂上田村麻呂が本堂を改築した伝承も残されています。

清水寺は天災や戦乱の影響で本堂を含む伽藍が9回も焼失しましたが、その都度再建されてきました。

現在に残る本堂は江戸時代初期の1633年に再建された建造物で、400年近くを経た今も信仰の拠点となっています。

礎石からの高さが4階建てビルにも匹敵する舞台は400枚以上の桧板を張って作られ、本尊の千手観音菩薩に雅楽や舞楽・能などの芸能を披露する目的で設けられました。

この舞台は樹齢400年以上の太い欅材18本を柱として「懸造り」と呼ばれる伝統工法を駆使し、釘を1本も使わずに建てられています。

強い覚悟の喩えとして「清水の舞台から飛び降りる」という言葉を生んだほど、かつては清水寺本堂が日本屈指の高層建築物だったのです。

3.境内に点在する重要文化財

清水寺の本堂は国宝にも指定されているほど貴重な歴史的建造物ですが、境内には本堂以外にも見どころが盛りだくさんです。

道の左右に土産物店が軒を連ねる清水道の坂を登っていくと、境内への入口となる仁王門が見えてきます。

京都市街が焼け野原になったと言われるほど激しい戦いが繰り広げられた応仁の乱で旧仁王門も焼失しましたが、現在に残る建造物は室町時代後期に再建された重要文化財です。

入口近くに建つ西門は夕日の名所としても知られており、沈む夕日に託して西方の極楽浄土に思いを馳せる「日想観」の修行の場とされてきました。

鐘楼や三重塔・奥の院なども江戸時代に本堂と前後して再建された建造物で、いずれも国の重要文化財に指定されています。

このうち奥の院は本堂と同じ懸造りによって築かれた舞台が設置されており、見事な眺望が得られる紅葉の季節は本堂と並んで観光客の人気を集めてきました。

4.音羽の瀧にまつわる伝承

「清水寺縁起」に記された伝承によると、奈良時代の僧・賢心の夢に現れた翁の「北へ清泉を求めて行け」というお告げが清水寺の起源とされています。

夢のお告げに従って奈良から音羽山へと進んだ賢心は、清水がこんこんと湧き出る滝を発見しました。

賢心は滝のほとりの庵で修行をしていた仙人・行叡居士と出会い、観音の霊力の宿る霊木を授かります。

行叡居士の残した言葉通りに霊木で千手観音像を彫った賢心は、この観音霊地を守るための寺院を創建したのです。

このとき賢心が発見した清泉の滝は今も清水寺境内に「音羽の滝」として残されていますので、清水寺を訪れたら立ち寄ってみるといいでしょう。

三筋に分かれて流れ落ちる清水はそれぞれ「学問上達の水」「恋愛成就の水」「延命長寿の水」と名づけられています。

修学旅行生には「学問上達の水」が人気ですが、シニア世代の人には無病息災を願う「延命長寿の水」に最も御利益があるものです。

5.混雑する時期と年中行事

清水寺境内にはこの他にもカラフルな前垂れが目を引く千体石仏群や、安産信仰を集めてきた朱色の子安塔など見逃せないスポットが数多く点在しています。

京都市内でも随一の観光名所とあって清水寺は1年中大勢の観光客で賑わいますが、桜が見頃となる3月後半から4月初旬と紅葉が見頃の11月中旬から12月初旬の時期は特に混雑するので要注意です。

清水寺では毎年12月に「今年の漢字」が発表され、森貫主による漢字一字の揮毫が清水の舞台で披露されることでも知られます。

8月中頃には一日で千日分相当の参詣ができるという功徳日の「千日詣り」が行われ、普段は非公開とされている本堂内々陣の特別拝観も可能です。

春夏秋冬ごとに期間を設けて行われる夜間特別拝観や、「月の庭」の異称を持つ成就院庭園の特別公開も人気を集めています。

年間400万人もの観光客が訪れると言われる清水寺でパワースポットらしい風情を味わうには、混雑時期を避けて穴場の期間に訪れるのが無難です。

改めて清水寺の魅力に触れてみよう

西国三十三所観音霊場の1つとしても清水寺は古くから信仰を集め、病気快癒や安産・長寿を願う人々が参詣してきました。

有名な清水の舞台も、増加した参詣客を収容するのが1つの設置目的だったと伝えられています。

観音菩薩の持つ慈悲の力を多くの庶民に分け与えてきた清水寺を訪れれば、今も不思議なパワーが得られるのです。