愛犬の避妊手術・去勢手術のメリットとデメリット、リスクとは?【ペット】

最終更新日:2017年9月6日

新しい犬を家に迎えるにあたって、初めに考えることの一つが、愛犬に避妊手術・去勢手術を受けさせるのかどうかということでしょう。

そもそも避妊・去勢をさせる必要があるのか、健康なのに手術するのはどうなのかなど、いろいろ悩んでしまいます。

実際、避妊手術・去勢手術にはメリット・デメリットの両方があります。

1. 生殖器の病気の予防になる

ある程度の若い段階で、避妊・去勢をすることによって、生殖器に関係する病気の発症率を抑えることができます。

雌犬の場合は、避妊手術で子宮を切り取ってしまうので、子宮蓄膿症などの子宮の病気になる心配がなくなります。
若いうちに手術をすれば、乳腺腫瘍などお乳の病気の発症も少なくなります。

雄犬の場合は、早期の去勢手術によって、前立腺肥大や精巣腫瘍などの病気を予防することができます。
いずれの場合も、病気になってしまってから手術をするよりも、費用・生死のリスクは低くなります。

また、歳を重ねてからの手術では、これらの予防効果は下がってしまいます。

もし、子犬を産ませないと決めているのであれば、これらの病気の予防として早い時期に避妊手術・去勢手術を受けさせることは、大きなメリットとなります。

2. 飼育頭数のコントロールができる

特に雄雌同居の場合、子供を産ませるのかどうか、産ませた場合に全頭飼育し続けることができるのか、あるいは引き取ってくれる方があるのかというのは重要な問題です。

いくら気を付けて見ていても、犬たちは子孫を残すためにベストなタイミングを心得ていて、一度でも交尾してしまえば、妊娠の可能性は高いと言われます。

そして、産まれる子犬は、たいてい1頭ではありません。

自宅で飼育できる頭数に限りがあるのであれば、雄・雌どちらか片方だけでも避妊手術または去勢手術を受けさせるのが一番確実な方法でしょう。

そうすれば、今いる子たちにめいっぱいの愛情をかけることができ、望まれない子犬を生みだしてしまうこともなくなります。

さらに、妊娠・出産が親犬(雌)の負担になり得ることも、考えなければならないでしょう。

3. 手術時の麻酔リスク

避妊・去勢の手術自体は、それほど難しい手術ではありません。
麻酔の安全性も高くなって来てはいますが、全身麻酔をかけるリスクがゼロになるわけではありません。

リスクというのは、最悪の場合、命を落とすということです。
みんなしているからと、気軽に考えていると、とんでもない後悔をすることになるかもしれません。

少しでもそのリスクを減らすためには、手術前の検査をしっかりとしてもらうようにしましょう。
その分費用は掛かるでしょうが、体質や健康状態によっても、麻酔をかけるリスクは変わってくるのです。

その検査結果によって、手術を断念した方が愛犬のためになる場合もあるでしょうし、治療または薬を併用するなどしてリスクを軽減することもできます。
また、犬種によっても麻酔のリスクに違いもありますので、動物病院でよく相談することが必要です。

4. 手術後の肥満

避妊・去勢される前の子たちの身体は、生殖器官に相当のエネルギーを使っています。
なので、そこにエネルギーが必要なくなった手術後は、同じものを同じように食べていると、持て余したエネルギーは身体に蓄えられます。

つまり、太りやすくなります。
せっかく生殖器の病気を予防できても、メタボになってしまっては、人間と同じように他の病気になる可能性が高くなります。

太りすぎると肢の関節にも負担がかかります。
愛犬は自分でダイエットはしません。

手術後は避妊・去勢犬専用のフードを与える、おやつをあげるのを我慢する、運動させるなど、飼い主が頑張らなければならないことが増えるかもしれません。
おやつをあげるのが楽しみだ、という飼い主には少し大変です。

5.マーキングはその子次第

去勢手術を考える際に、マーキングを止めさせたいという方もあるでしょう。
ただし、去勢手術後にマーキングをするかしないかは、個体差があります。

まだ肢を上げて排尿をしていない子犬であれば、手術後も肢を上げずに排尿するかもしれません。
しかしすでに成犬でマーキングを行っている場合は、去勢手術をしたからと言ってマーキングを止めるかどうかは分かりません。

マーキング防止だけが目的なら、手術のリスクとは釣り合わない可能性があります。

愛犬の健康長寿・飼育環境などをよく考えて決めてあげましょう

もちろん、飼い主が愛犬たちの子犬を産ませたいのか、増えては困るのかということも、避妊手術・去勢手術を考える時には重要です。
ただ、手術を受けるのは犬たちです。

生殖器の病気予防としてなら、成犬になって歳を取ってからより、できるだけ早い段階で手術を受ける方が効果があります。
全身麻酔の手術というリスクを負うのも、もちろん犬たちです。

愛犬の健康や生活環境の良さも充分考慮して、飼い主と愛犬の両方にとって良い方の選択をしてあげましょう。