手話は仲間と協力して楽しく学べ、新たな世界を知るきっかけになる!始め方と注意点

最終更新日:2017年11月6日

テレビ画面のワイプやイベント会場で手話通訳を見かけた、または街角で手話を使って話している人たちを見た…手話を学び始める人は中高年に多くいらっしゃいます。

「私も手話でおしゃべりができたら」「とっさの時に人助けができるように」または「手話を覚えるには手と頭を動かすから、老後の健康にも良いと思って」など、きっかけはそれぞれです。

もし手話に興味を持ったら、ぜひ一歩を踏み出してみましょう。

1.取り掛かりやすい手段で始める

一口に「手話を始める」といっても、手段は沢山あります。

身近に手話を話せる人がいて教わることができる環境にある人は良いのですが、そのような人はほんの一握りでしょう。

地域によりますが、以下のような手段があります。

まずはご自身に取り掛かりやすい方法で始めましょう。

■地域のサークル:お住まいの市町村、あるいは地域に手話サークルはありませんか。

ご不明な場合は、地域の社会福祉協議会に問い合わせてみましょう。

サークル活動では、生きた手話を学び、ボランティア活動、また聞こえない人々と楽しい時間を多く過ごしながら自然と手話と身につけられると同時に、人脈を広げることができます。

団体名の一部に「手話通訳」とついていても、手話通訳を目指す予定のない初心者も受け入れている団体も数多くありますので、まずは問い合わせてみることをオススメします。

自治体主催の講習会.年度ごとに市町村、あるいは都道府県レベルで、初級者から通訳養成まで数段階の講習会が開かれていることが多くあります。

広報に目を通したり、お住まいの自治体の福祉課等に問い合わせたりしてみましょう。

■NHKのEテレ:いくつか手話に関する講座があります。

初心者でも分かりやすく、楽しい内容で、日常で使えるフレーズに富んでいます。

■教室:主に都市圏にはカルチャースクールの一部として、また検定対策教室など、色々な団体が講座を行っています。

■通信教育:大手の通信教育会社が開講しています。

テキストとDVDがセットになった講座が多くあります。

■専門学校:通訳者になる決意の固い人向けです。

全くの初学者でも入学できる学校があります。

2.日本語との違いを楽しむ

手話表現をご覧になったことがあれば、手の動きが非常に立体的で細やかなことをご存知でしょう。

日本語の会話も、声色や話す間合いで随分と印象が異なりますが、声のない手話は、動画のような迫力や瑞々しい表現、複数の事柄を同時に表す力などに富んでいます。

また、手の動きだけでなく表情が豊かに表現されることも特徴です。

表情も手話という言語では重要なポイントとなります。

手話を話す人々の背景は千差万別です。

手話を学び始める前は「手話で単語を覚えて、日本語の通りにつないで単語を表せばOKだろう」と思いがちです。

しかし実は、手話を第一言語として育ってきた人たちの話す手話は、独自の文法を持っており、日本語とは異なる語順で表出することも多いのです。

これもまた、新しい言語を習う魅力と言えます。

手話をだんだん習得できるにつれて、同じ日本で暮らしているろう者の考え方、ものの見方に理解が深まります。

言い換えると、ふと日常で目にする風景も異なった捉え方ができるようになり、視野が広がります。

3.生の手話に触れる機会を持つ

通信教育やテレビ等で学び始めた方も、指文字を覚えたり、簡単な挨拶を覚えたりする頃からは、ぜひ生で会話ができる環境を求めてみましょう。

手話は話してこそ身につきます。

相手に読んでもらえるような表現力や、相手の手話を読み取る力は、一方通行の教材ではなかなか身につきませんし、単語は地域ごとに豊かなバリエーションがあります。

日本語の方言もそうですが、手話にもその土地ならではの美しい表現や、地元の人同士ならではの分かり合える表現が多くあります。

その反面、標準的な教材で覚えた単語があなたの地元では通じにくいということも起こりうるのです。

せっかくですから、通じる手話を身につけて、会話を楽しみましょう。

4.ろう者との文化の違いを理解する

手話を話す人々の背景は千差万別です。

生まれながら聞こえない人々の中には、幼い頃から高等部までろう学校で育ったり、あるいはろう者の両親に育てられた人も多くいます。

また中途失聴の人々からは、普段想像も及ばないような苦悩が聞かれることもあります。

当然ですが、聞こえる私達と異なった環境で育った人たちには、独特の暮らしの工夫や文化がありますし、個々の歴史があります。

また、聞こえる立場ではあまり知らずに過ごしてきた、ろう者の歴史、教育や労働面など、暮らしのあらゆる場面での諸問題についても学ぶと良いでしょう。

というのは、少なからず現在まで影を落としている問題が多いのです。

手話を学ぶことで知り合う、あなたの周りの聞こえない人々への理解を深めるためにも、ぜひ「手先だけの手話」ではなく、手話を取り巻く環境についても理解を深めていきましょう。

なお、これらは自治体の講習会では必ずカリキュラムに入っていて教わることができますし、サークル活動などに参加すれば自然に学ぶことができます。

5.仲間と協力して楽しむ

会話は、人と人とをつなぐものです。

手話を学ぶにつれて、手話で話す相手と知り合い、また手話を学ぶ仲間も増えていくことでしょう。

生身の人間と関わっていくことができる「手話」を通じて、世界が広がります。

学び始めは受け身になりがちですが、慣れてきたら、自分ができることを少しでも見つけて、仲間と協力する気持ちを忘れずに活動していきましょう。

近くにいる人たちも、あなたが仲間に加わって下さったおかげで、きっと少しずつ世界が広がるはずです。

新たな世界を知るきっかけになる手話を学ぶ

いかがでしょうか。

手話は、身近にあるけれどもなかなか触れることのない、そしてとても魅力的な言語です。

学ぶうちに、今までご自身も気づかなかったような表現力がきっと引き出されるでしょう。

そして手話だけでなく聞こえない人々を取り巻く環境についても視野が広がり、今までに交流のなかった人とのふれ合いも増えていきます。

興味を持った時が学び時。

ぜひ、みなさんもご自分のできそうな方法から、手話を始めてみませんか。