恐山菩提寺(青森県)は死者の霊がたどり着く聖地で日本三大霊場の1つ!

最終更新日:2017年11月27日

青森県下北半島の恐山菩提寺は国内屈指のパワースポットとして知られ、古くから東北地方の人々から信仰を集めてきました。

死者の霊が集まる場所とされる恐山は、夏と秋の大祭でイタコの口寄せが行われることでも有名です。

1.日本三大霊場の1つとして有名

下北半島の中央部にある恐山は1万年以上前に発生したと推定される大噴火の影響でカルデラ湖が生じ、湖の周辺を8つの外輪山が取り囲む形をしています。

この外輪山の総称を恐山と呼ぶようになったのは近代に入ってからの話で、藩政時代までは宇曽利山と呼ばれていました。

カルデラ湖も宇曽利湖と名づけられていますが、この「ウソリ」とは窪地を意味するアイヌ語だとする説が有力です。

宇曽利湖の近くに建造された恐山菩提寺には地蔵堂や八角円堂などの諸堂があって、境内の西側には至るところで火山性のガスが噴出する地獄の荒涼とした風景が広がります。

比叡山・高野山と並んで日本三大霊場の1つに数えられる恐山は、この世とあの世の境界に位置する第一級のパワースポットです。

地蔵信仰や修験道と関わりながら庶民の信仰を集めてきた恐山は、霊地巡礼の旅を続けるシニアの間でも根強い人気があります。

2.円通寺・奥の院との関係

恐山菩提寺は宇曽利湖の湖畔一帯に境内を持ち、青森県むつ市の中心部にある円通寺を本坊とします。

平安時代前期の貞観年間に慈覚大師円仁が創建したとする伝承が恐山菩提寺に残されているだけに、もともとは天台宗の寺院でした。

唐への留学中に見た夢のお告げに従って帰国後に北方への旅を続けた円仁は、夢と符合する恐山にたどり着き、地蔵菩薩像を彫ってこれを本尊とする寺院を創建したのです。

恐山菩提寺は中世に入ってから廃れていましたが、戦国時代の1522年に曹洞宗の僧・聚覚によって中興されます。

聚覚は南部氏の援助を受けながら現在のむつ市に円通寺を創建し、荒れ果てていた恐山菩提寺も里人の協力を得て曹洞宗の寺院として再興を果たしたのでした。

恐山を構成する8つの外輪山のうち、地蔵山には本尊の地蔵菩薩を守護する不動明王が、釜臥山には釈迦如来が安置されています。

この2つは恐山でも奥の院と呼ばれ、地蔵堂に地蔵菩薩像を安置する恐山菩提寺と合わせて1直線に配置された3大聖地を構成しています。

3.地蔵堂と八角円堂

交通機関を利用して恐山菩提寺を訪れる場合はJR下北駅からバスに乗り、40分ほど揺られたところで到着です。

入山料500円を納めて総門をくぐった先の参道の途中に山門が見えてきます。

山門の先に本尊の延命地蔵菩薩像を安置した地蔵堂がありますが、境内にある温泉小屋で見を清めてから地蔵堂に参拝する人も少なくありません。

延命地蔵菩薩は生まれた子の寿命を延ばして短命を免れるという御利益を持ち、無病息災と延命長寿を願う人たちの信仰を集めてきました。

地蔵堂から宇曽利湖方面へと5分ほど歩いた先に見えてくるのが、八角円堂と呼ばれる建物です。

八角円堂は死者の霊が降りてくると言われる場所で、亡くなった人の衣服や玩具などが遺族の人たちによって納められています。

八角円堂の付近の木々には死者の霊の便宜を図るために数多くの手拭いが結び付けられており、いかにも霊地らしい光景が広がっています。

4.死者の霊がたどり着く聖地

地元の人たちの間では、49日の間自宅にとどまっていた死者の霊魂はやがて恐山に行き着くと信じられてきました。

エメラルドグリーンの水をたたえた宇曽利湖を海に見立て、死者の霊魂は海の向こうに帰っていくという海上他界観もあります。

春・夏・秋の季節ごとに行われる恐山への祈祷も古くから周辺地域の習俗で、特に夏参りでは死者の歯骨を近親者が納める目的で恐山に登拝する習わしがありました。

前述の八角円堂はそうした習俗の名残をとどめる施設でもありますが、八角円堂の近くにある賽の河原には亡くなった子供を成仏を願う親が石を積んで築いた供養塔も見られます。

付近には草木の生えない荒涼とした地獄の風景が広がっている一方で、そこから少し歩いた先では西方浄土を思わせる極楽浜に心が救われます。

恐山菩提寺の境内は日本国内でもあの世に最も近いと言われる霊地らしく、その場所を訪れた人にしか体験できない強力なパワーに満ちているのです。

5.恐山が賑わう夏と秋の大祭

下北地方では恐山への季節ごとの登拝が住民の間に深く根づいてきましたが、現在も毎年実施されている夏と秋の恐山大祭期間中は全国から訪れた大勢の参拝客で境内が賑わいます。

夏の大祭は毎年7月20日から24日までの5日間、秋の大祭は体育の日を最終日とする3連休の3日間です。

大祭の日に恐山菩提寺で地蔵菩薩に参拝すれば亡くなった人を成仏させることができると言われており、大祭期間中はイタコの口寄せも行われます。

7月22日に行われる山主上山式の行列が夏の恐山大祭一番の呼び物で、大施餓鬼法要や大般若祈祷も見逃せません。

JR下北駅から恐山菩提寺に向かうバスは恐山大祭期間中に増発されますが、温泉を備えた宿泊施設として人気の宿坊も大祭期間中は満室となります。

恐山大祭の時期に宿坊への宿泊を考えている人は、早めに予約をしておくといいでしょう。

恐山菩提寺を訪れて霊的なパワーを感じよう

古くから地元住民の信仰を集めてきた恐山菩提寺は、日本三大霊場の1つに数えられるだけに遠方からの参拝客が絶えません。

この世とあの世が交錯する恐山菩提寺を訪れれば、人生観や世界観も大きく変わる可能性があります。

日本各地には多くのパワースポットが存在しますが、恐山には最も強力な霊場のパワーが秘められているのです。