「ゲーテ」は恋に生き生涯現役を貫いた!その調和的な人生観と苦悩克服の秘訣とは?

最終更新日:2017年11月27日

18世紀のドイツ文学を代表する詩人で小説家・劇作家のゲーテは、世界の文学史上で最も偉大な文豪の1人でもあります。

83歳で亡くなる直前まで生涯現役を貫いたゲーテの生き方は、シニアにとって格好の手本です。

1.晩年に至るまで精力的に創作

古典主義の第一人者として知られるゲーテも、若い頃は理想に燃える闘士として活躍していた時代がありました。

若き日のゲーテは自由への愛と権威への反抗を高らかに歌い上げ、感情の自由な発露を目指したシュトゥルム・ウント・ドラングの革新的文学運動の担い手だったのです。

ヨーロッパ中に大ブームを巻き起こした「若きウェルテルの悩み」は、この時期のゲーテが自身の体験に基づいて書いた恋愛小説です。

その後のゲーテはワイマール宮廷での公職を得て宰相にまで昇り詰めますが、イタリア旅行やシラーとの交流を通して古典主義の作風を確立します。

そうした壮年期に「ウィルヘルム・マイスターの修業時代」などの代表作が書かれました。

ゲーテは晩年も精力的に創作活動を続けて「親和力」や自伝「詩と真実」「イタリア紀行」を書き、83歳で亡くなる直前には60年間を費やした畢生の大作「ファウスト」を完成させたのです。

2.高齢になっても衰えなかった創作欲

若くしてデビューした作家の中には年齢とともに創作力が衰え、晩年には目立った作品をほとんど発表できなくなる例も少なくありません。

脳の活動は若い頃が最も活発で、壮年と呼ばれる年齢になるとある程度の人生経験も加わって創作活動のピークを迎えるのが一般的です。

さらに年齢を重ねると人生経験はますます豊かになりますが、創作エネルギーの源泉となる脳の働きは若い頃にどうしても及びません。

経験値でカバーするにも限界があることから、作品数を年々減らしていく作家が多いのです。

その点でゲーテは生涯を通じて創作力が衰えず、「親和力」を書いたのは60歳で「イタリア紀行」は68歳、「ファウスト」に至っては82歳で完成させました。

代表作の1つ「ウィルヘルム・マイスターの遍歴時代」の脱稿は72歳の年です。

ゲーテが晩年に至るまで創作欲を維持していた秘訣の1つとして、彼が女性から大きなエネルギーを得ていた点は見逃せません。

3.恋に生きた文豪の生涯

ゲーテほど恋に生きた文豪はいないと言われるほど、その長い生涯は数々の恋愛エピソードに彩られています。

23歳のときに体験したシャルロッテ・ブッフとの悲恋体験は、名作「若きウェルテルの悩み」を生むきっかけとなったことでも有名です。

銀行家の娘リリー・シェーネマンとの新たな恋も婚約解消という悲劇に終わった後、ワイマール時代には7歳年上のシャルロッテ・フォン・シュタイン夫人と恋に落ちました。

10年以上も続いたシュタイン夫人との恋もゲーテが無断でイタリア旅行に出かけたのをきっかけに破局し、帰国後は若きクリスティアーネ・ヴルピウスを内縁の妻とします。

ゲーテは70歳を過ぎてからもヴィルヘルミーネ・ヘルツリープという18歳の少女に想いを寄せて拒絶されますが、この悲劇的体験は「親和力」を生む大きな原動力となりました。

こうして見ると文豪ゲーテは人生を通じて女性からエネルギーを得ながら、絶えず創作の源泉としていた事実が窺えます。

4.調和的な人生観と苦悩克服の秘訣

もちろんゲーテが創作の源泉としていたのは、このような女性との恋愛だけではありません。

さまざまな人生経験や豊かな教養に加え、フランス革命とナポレオン軍によるドイツ侵攻など激しく揺れ動く時代の変化もゲーテ文学を形作った栄養分の数々です。

文学革新に燃えていた青春時代から一転して、イタリア旅行をきっかけに古典主義に目覚めていったゲーテは、次第に調和的な人生観を確立していきます。

政治的には急激な社会変革を好まず穏やかな発展と変化を目指したゲーテの人生観は、「親和力」「ウィルヘルム・マイスターの遍歴時代」「ファウスト」といった代表作からも読み取れます。

女性との悲恋体験に代表されるさまざまな苦悩もその都度小説や詩などの文学作品に結実させることで、ゲーテは人生の危機を何度も乗り越えてきました。

そうした人生観や悩みを克服する知恵は、200年後の日本に生きるシニアにとっても学ぶべき点が多くあります。

5.シニアが見習うべき文豪の人生哲学

シニア世代と呼ばれる年齢層の人であれば、これまでの人生でさまざまな経験をして数々の問題に悩まされてきたはずです。

生きた時代と国は違いますが、ゲーテもまた同じようにいろいろな人生経験の中で悩みを自分の力で解決してきました。

時には無二の親友だったシラーから励まされ、時には愛する女性から力を得ながらも、ゲーテは人生に対する思索を文学作品として昇華させてきたのです。

ゲーテの残した人生哲学は「ファウスト」を始めとする著作を通じて現代のシニアも学ぶことができます。

高齢になっても女性に恋する感性を失わず、実人生で直面した悩みを文学作品にぶつけることで若さを保ってきたゲーテの生き方そのものに、シニアが見習うべき点が凝縮されているのです。

ゲーテのそうした生き方を自分に当てはめてみれば、第二の人生をどう生きるかという答えも見えてきます。

人生の知恵を授けてくれるゲーテの思想

生涯を通じて人生と真剣に向き合ったゲーテの作品は、後世の小説家だけでなく各界のさまざまな分野の人々に多大な影響を与えてきました。

若い世代では読む人も少なくなっていますが、シニア世代の人にとってゲーテ作品は親しいものです。

ゲーテの生き方に興味を抱いたら、彼の残した名作を読み返してみるといいでしょう。