定年後のペット!犬のカーミングシグナルと注意点

最終更新日:2017年10月7日

犬を飼ったことのある方なら誰でも一度は、犬の言葉が理解できたらと思った経験があるでしょう。

犬の気持ちが分かれば、その気持ちに応えてあげることができ、犬との生活がより楽しくなります。

犬が好きな方は犬の様子を見ただけで、その犬がどんな気持ちなのかなんとなく分かるかもしれません。

そんな方も、今よりもさらに犬の気持ちを理解するのに役立つ、カーミングシグナルを詳しく紹介します。

1.カーミングシグナルとは

人間は相手に何かを伝えたいときには、言葉を使います。

犬ももちろん鳴き声で気持ちを表現しますが、言葉を使えない分、動作で相手に何かを伝えようとする場面が多くあります。

そのような動作をカーミングシグナルと呼びます。

特に犬同士で無駄な争いを避けるために、自分の感情や立場を伝える役割をしていると考えられています。

2006年にノルウェーのドッグトレーナーであるトゥーリッド・ルガース氏が提唱したことにより、世界中にこの考えが広まっていきました。

この考えをピサ大学の研究チームが科学的に検証。

結果、カーミングシグナルはその犬自身がストレスを感じたときに発する表現であり、また相手も落ち着かせることができるという統計が出ました。

ではどのような動作がどのような気持ちを表しているのか、具体的に見ていきましょう。

2.自身が不安なときに見せるカーミングシグナル

その犬自身が不安なときに見せる動作としては、鼻をなめること、地面のにおいをかぐこと、水に塗れたときのように体をブルブルと震わせることがあります。

また、自身の不安だけでなく緊張や興奮を抑えようと、前足を空中に上げたり、体や耳の後ろを掻くこともあります。

犬が突然このような動作を見せたときには、まずは犬が不安でいることを理解してあげましょう。

特にこのようなときには、犬の目を直視したり、急に触る、大きな声を出すということは避けましょう。

そして、その不安の原因を探し出し、取り除いてあげることが大切です。

3.相手に敵意が無いことを示すカーミングシグナル

仰向けになることや目をそらすこと、相手の前に座ること、弧を描くようにしてゆっくり歩くことは、相手に争う意思が無いことを伝える動作です。

人間の世界では目を見つめることは好意の表れですが、犬の世界では見つめることは威嚇行為に当たります。

こっちが見つめているときに目をそらされたからといって、嫌われている訳ではないのでご安心ください。

興奮している犬の前で座ると、急に落ち着いて言うことを聞いてくれることがあります。

これは、こちらのシグナルを犬が読み取ったということですね。

4.相手を落ち着かせようとしているカーミングシグナル

相手が興奮していたり怒っていて、落ち着いてほしいときに見せる動作もあります。

背中を向けることや伏せのポーズをとること、空中をなめるように舌を出すことなどがあります。

またあくびをすることには、自分自身の不安を和らげる意味もありますが、相手に落ち着いてほしいときに見せる動作でもあります。

例えば、飼い主さんが叱っているときに、犬が背中を向けたりあくびをすると、人間の感覚では全く聞いていないのではと感じてしまいます。

しかし実は、犬は「怒るのはやめて落ち着いて」と伝えようとしているのかもしれません。

またこれを利用して、犬に落ち着いてほしいときに、目の前で人間があくびをするのも効果があると言われています。

5.その他のカーミングシグナル

その他にもいくつか犬の感情を示している動作があります。

嬉しいときに尻尾を振るというのは有名ですが、尻尾を高く上げているときには警戒をしています。

また、体全体を低く落としているときや、頭を低く落としておしりを上げ、尻尾を振っているときは、相手を遊びに誘っています。

このような動作が見られたときには、時間があるときには相手をしてあげると犬も喜びます。

6.注意する点

以上に代表的なカーミングシグナルを紹介しましたが、そのうちの多くの動作はカーミングシグナルだけではなく生理的にも起こるものです。

あくびをしているからといってストレスを感じているのではなく、本当に眠いだけかもしれませんし、地面のにおいをかぐのはトイレを探しているときもそうします。

体を掻くのも、単にかゆいからかもしれません。

その動作が生理的なものか、カーミングシグナルなのかを見極めるのが難しい点です。

しかし、毎日一緒にいて注意して犬の様子を見ている飼い主さんなら、犬が何かを訴えているときに気がついてあげることは難しくありません。

犬とのよりよい生活のために

犬の気持ちを理解することは、犬とのよりよい関係を築く第一歩です。

一日の中で、犬としっかり向き合い観察する時間を設ければ、徐々にカーミングシグナルを受け止められるようになるでしょう。

カーミングシグナルを読み取ることに慣れれば、散歩中に他の犬と会ったときに、自分の犬がどのような心理状態なのかを知ることによって、トラブルを回避することもできるようになります。

ときには、人間もカーミングシグナルを利用して犬とコミュニケーションをとりながら、無理をさせずに毎日を楽しく過ごしてみてください。

人間と犬の絆がより深まるといいですね。