全国的に有名になった和歌山ラーメンは、最近、インスタントラーメンでも味を似せたものがよく出回っています。
和歌山ラーメンは、和歌山市内各所にいくつもの店が散らばっていますが、大きく2つに分かれる特徴があります。
1.井出派と車庫前派
和歌山ラーメンは、味の特徴により「井出派」と「車庫前派」の2つに大きく分けることができます。
「井出派」には、JR和歌山駅近くの井出商店が作り出した味を継承する店と、それに近いスープを自分で作り出して使っている店があります。
一方、「車庫前派」は、約50年前まで走っていた路面電車の車庫の前に集まっていたラーメン店の味を継承する店をいいます。
和歌山ラーメンとして、一時期マスコミに大々的に取り上げられて有名になり、インスタントラーメンで近い味のものが作られているのは「井出派」。
地元の市民に人気があるのも「井出派」のラーメンです。
2.井出派のラーメンの特徴
「井出派」のラーメンは、濁った豚骨醤油味のスープが特徴で、豚骨をベースにしており、店内にスープの強いにおいが充満していることが多いです。
「井出派」を作り出した井出商店は、和歌山駅前の大通りを500mほど南に行ったところにあります。
夜には店の前に行列ができることもあります。
ただし、最近は「味がかなり落ちた」といわれ、地元の市民はほとんど行きません。
マスコミに紹介されて客が殺到していましたので、スープの用意が大変で味が狂ってしまったのかもしれません。
最近行列を作っているのは他県からの観光客が多いと思われます。
「井出派」で、地元の市民のほとんどが「おいしい」と答え、いつも混雑しているのは「丸三」です。
和歌山市塩屋(2016年に立てこもり発砲事件があったところ)に店があり、駅からはかなり遠いですので、他県の方は少し行きにくいかもしれません。
40年以上の歴史を持ち、旧店舗はかなり狭かったのですが、数十年前にリニューアルされた新店舗では、店内と駐車場が大きくなりました。
ただし、座席数はあまり増えていません。
ラーメンを作るスピードに合わせた座席数にしているのかもしれません。
いつも午前11時半ごろには駐車場が満車になり、店の前の道路の路肩に駐車待ちの車が10台以上並んでいたりします。
味は、井出商店よりもしっかりしていますが、驚くのが後味の良さです。
濃厚なスープですが、後味が非常にさっぱりしており、食べた後に胃が重たくなるようなことはありません。
「井出派」の和歌山ラーメンを味わいたいのであれば、一度「丸三」に行かれることをオススメします。
3.車庫前派のラーメンの特徴
車庫前派のラーメンは、透き通った豚骨醤油味のスープが特徴で、醤油をベースにしていています。
「車庫前派」は、「井出派」に押されて、店舗は非常に少なくなっています。
一番有名なのが、紀三井寺球場近くにある「〇宮」です。
この店も駅からは遠く、車かバスを利用する必要があります。
「〇宮」は、昼食時や夕食時にはほとんど満席になることが多いのですが、行列ができることはあまりありません。
醤油ベースということもあり、味は、濃厚というより辛目といった方がよいかもしれません。
「井出派」ラーメンのスープのにおいが苦手な女性には、結構好評ようです。
この店は、ラーメン以外にチャーハンを注文することができ、塩辛さが好きな人にはよいのではないでしょうか。
インスタントラーメンで和歌山ラーメンのイメージができている人にとっては、ちょっとがっかりする味かもしれません。
4.その他の特徴
和歌山ラーメンの店に必ずといっていいほど置いてあるのが、ゆで卵と「なれずし」という鯖寿司です。
「なれずし」は、鯖を使った和歌山の名産品で、長さが15cmほどあり、酢飯の上に大きく切った鯖を載せ、さらに生姜を載せて、アセの葉などで全体を巻いたものをいいます。
和歌山ラーメンの店にある「なれずし」は、その半分以下の小さいもので、ラーメンと一緒に食べるのに負担にならない大きさで作られています。
ゆで卵と「なれずし」は、テーブルの上にそのまま置かれていて、食べたい人が好きなだけ食べて、支払の時に何個食べたかを店に伝えます。
さっぱりとした酢飯が、少しこってりしたラーメンのスープの味を打ち消すようになって、ラーメンの味がより引き立ちます。
特に「丸三」の「なれずし」は、青魚が苦手な人でもおいしく食べられるでしょう。
和歌山ラーメンを巡って、和歌山を堪能しよう
和歌山ラーメンは、和歌山市内各所に散らばっています。
和歌山は、和歌山城や紀三井寺を始め、歴史的観光スポットも豊富です。
和歌山ラーメンの店は不便なところにありますが、JR和歌山駅などから発着するバスで行くことができます。
「井出派」と「車庫前派」の両方の和歌山ラーメンを食べ比べながら、途中に通る観光スポットに立ち寄るのも良いのではないでしょうか。