「カツオのタタキ料理」(高知県)は坂本龍馬、よさこい祭り、清流・四万十川と並ぶ名物料理

最終更新日:2017年11月14日

高知県の名物はと問われたら、どんなイメージが浮かぶでしょうか。

坂本龍馬、よさこい祭り、清流・四万十川…。

ですがやはり一番に浮かぶのが「カツオのたたき」かと思います。

「カツオのたたき」なら近所のスーパーに売っています。

ですが、「高知」のたたきとなると話は別。

他地域のものを寄せ付けない、別格のオーラを放ちます。

1.なぜ高知はカツオで有名なのか

そもそも、なぜ「高知と言えばカツオ」というほどイメージが浸透したのでしょう。

高知県沿岸には黒潮(日本海流)が流れており、この黒潮に乗ってカツオはやってきます。

そして土佐湾という良質な漁港があります。

従って、たくさんの新鮮なカツオが水揚げされるのです。

平成28年の高知県民1人あたりのカツオの消費量は1、164グラムとなっています。

これは2位の福島県民の554グラムと比べても倍近くの数値となり、全国でも圧倒的な消費量といえます。

つまり、新鮮なカツオがたくさん取れるから、たくさん食べる。

たくさん食べるから、味に、調理法にこだわる。

こだわるから美味しくなる。

美味しいから有名になる、ということです。

2.「たたき」とは

魚の「たたき」には主に2種類あります。

1つは細かく刻んで粘り気を出す調理法です。

アジのたたきやマグロのたたきがこれに当たります。

2つ目は魚肉の柵を軽く火で炙り、冷ましてから分厚く切り分ける調理法です。

特にカツオのたたきは「土佐造り」の別称があるほど、高知の名産物として知られています。

萱や藁で燻すと外側は燻製のような芳醇な香り、内側は刺身の新鮮さを味わえるのです。

起源は諸説あります。

漁師飯や鰹節のあまりから作られた、食中毒防止のため山内一豊が鮮魚の生食を禁じた時に、庶民が焼き魚と称してこっそり楽しんでいた、など。

この説の真偽は別として、日本人の食に対する並々ならぬ執念を端的に示すエピソードです。

3. 旬はいつか

高知のカツオの旬は4~5月の初ガツオ(上りガツオ)と9~10月の戻りガツオ(下りガツオ)の2回あります。

「女房を質に入れてでも食べたい初ガツオ」と昔の江戸っ子は言いました。

勿論、これはものの例えであって、本気で妻を質入れするわけではありません。

そうまでして、金策をしてでも食べたい…という気持ちの表れです。

流行りものに敏感で、粋を好んだ江戸っ子らしい言葉です。

しかし、「たたき」に限っては戻りガツオの方が向いています。

というのも、初ガツオは身が痩せているため。

あっさりとしていて刺身では食べやすく、これはこれで好まれます。

戻りガツオは脂がのっている上に身が締まっているので「たたき」との相性が良いでしょう。

4. 戻りガツオに脂がのっている理由

初ガツオは黒潮に乗って太平洋を北上します。

黒潮は南方からの海流です。

海水に含まれる有機物が強い太陽光により分解されてしまうので、その有機物をエサとするプランクトンが育ちにくいのです。

プランクトンを食べるカツオも、食べ物が少ないために痩せて脂の乗りが十分ではありません。

そしてエサ場を求めて、プランクトンの多い北方を目指す途中に高知県沿岸を通過していきます。

緯度の高い地域は日照時間が短いため、日光によって分解される海中の養分が少なくて済みます。

北方から流れてくる親潮(千島海流)は、さらに大陸の川から運ばれる養分を多く含んでいます。

塩分濃度も低いため、酸素も豊富でプランクトンの成長に適合しています。

北上した先で親潮のもと、豊富なプランクトンをたっぷり食べた戻りガツオは、冬に備えて脂肪をしっかりと蓄えているので丸々と太っているのです。

5.味付け

「土佐造り」といえば味付けは独特の「タレ」か「塩」です。

名産の柚子を使ったポン酢も好まれます。

全国的に見れば醤油が一般的ですが、土佐の場合、たたきが食され始めた頃は醤油が高価で庶民には手が出なかったという説があります。

また、たたきを水で冷やすのではなく塩で引き締めていた、これが塩たたきの始まりだとする説もあります。

いずれにせよ、土佐では醤油より塩が庶民の身近にあったのでしょう。

マヨネーズを付ける人もいますが、毎日カツオを食べて味の変化を求める漁師に多くなります。

板前さんの中にはこの食べ方を嫌う人は多く、現に店でのメニューにはあまり載っていません。

店の主人や仲居さんから勧められた時にだけ、試すのが賢明でしょう。

6.薬味

薬味も独特です。

刺身には山葵がつきものですが、高知では生姜とニンニクが愛されています。

アジやイワシのような青魚には生姜が合いますから、これは納得です。

ニンニクは他地域ではあまり(半)生魚には使いません。

日本食は食材本来の味を活かし、繊細な味を楽しむのが良しとされます。

それゆえ、あまり香りの強い香辛料は使いません。

特にニンニクは強烈な香りとパンチを持つので避けられてきました。

しかし高知の「カツオのたたき」は、そのニンニクですら自らの引き立て役にする旨味と風味を持つのです。

まとめ

いくら言葉に尽くしても、高知の「カツオのたたき」の魅力は文面ではお伝えしきれません。

今は通信販売でお取り寄せも出来ます。

しかし現地で出来立ての、まだ軽く熱が残るくらいの「たたき」の美味しさは、実際に体験していただくほかありません。

食べ歩いてお気に入りの一店を見つけるのもよいでしょう。

リタイア後の旅先の候補に、高知県を入れてみてはいかがでしょうか。